バスケットボールにおけるドリブルは、どうしてもそのスピードに目がいきがちです。
NBAのトップドリブラーなどになれば、その速度は凄まじいモノがあります。
しかしながら、全員が全員フィジカルに優れている訳ではなく、一世代を築き上げたスタープレイヤーの中には、突出した身体能力を持たない選手もいます。
それでは彼らがどのようにして並み居る強敵を討ち果たしてきたかですが、その答えの一つがチェンジオブペースです。
速度差はときに最高速を上回る
チェンジオブペースとは、言葉通りペースを変えるドリブル技術です。
簡単に言えば、ドリブルの速度に緩急を付けると言うことですね。
ドリブルでディフェンスを抜く際、言うまでもなくスピードは速い方が良いです。
極端な話、ディフェンスが反応出来ない速さでドライブを仕掛けることが出来れば、何もせずとも簡単に抜けます。
ではスピードで劣る選手はドリブル突破が出来ないかと言うと、決してそうではありません。
トップスピードが多少物足りなくても、緩急を上手く使えれば十分に強力なドリブラーになれます。
例えば、最高速度が100で最低速度が80の選手と、最高速度が90で最低速度が60の選手がいたとします。
この二人が同じディフェンスを相手にドリブル突破を仕掛ける場合、単純に考えれば最高速度で勝っている前者の方が容易に抜けるように思えます。
ですが、ここで注目して頂きたいのは両者の最高速度と最低速度の差です。
前者が100-80の20に対して、後者は90-60の30です。
これは両者が緩急を付けられる速度差であり、後者の方が急激な緩急を付けられることを意味しています。
そして、急激な緩急を付けることが出来れば、最高速度で劣っている選手よりも速く見せることも可能なのです。
身体能力に恵まれていない選手がトッププレイヤーになることが出来る、一つのケースだと言えるでしょう。
基礎と洞察力が大事
ハイレベルなチェンジオブペースを身に付けるにあたって、何よりも重要なのは基礎をマスターすることです。
これは何事にも言える当たり前のことなのですが、それでも敢えて言わせて頂きました。
その場でルックアップして正確にドリブルが出来るようになったら、次は走りながらドリブルして急停止する練習をしましょう。
この一連の動作を手元を見ることなくスムーズに出来るのは、チェンジオブペースを習得する最低条件だと言えます。
それが出来たら、今度は実際にディフェンスを相手に練習しましょう。
ゆっくりとドリブルで抜きにかかり、ディフェンスがその動きに合わせてコースを防ぐように動いた瞬間に、スピードを上げて一気に置き去りにします。
ディフェンスは最初ゆっくりと動き、徐々に速くしていきましょう。
このとき大事なのは、オフェンス側はドリブルの技術を練習すると同時に、ディフェンスの重心の動きを察知する洞察力も磨くことです。
効果的なチェンジオブペースを仕掛ける為には、相手の重心の動きを見極める必要があります。
そして最後に、緩急について覚えておいて頂きたいことがあります。
それは、緩急とは0から100と100から0を一瞬で行うと言うことです。
何が言いたいかと言うと、0からスタートして、25→50→75→100のようなスピードの上がり方では効果が激減すると言うことです。
あくまでも0→100、100→0を意識して練習して下さい。
これを身に付けるのはかなり難しいですが、練習次第で誰でも出来る技術でもあります。
貴方が本当にドリブラーとして上を目指したいなら、この技術を習得するのは大きな意味があるでしょう。